カタカタ ボックス


コガタアカイエカの観察 (2005/8月) 
2005年6月13日の日々の雑記に日本脳炎ワクチンと日本脳炎、コガタアカイエカについてあれこれ書きました。その中で、昔は日本脳炎の患者がたくさん出てたけど、ワクチンの定期接種、それから水田の減少や農薬の使用によるコガタアカイエカの減少で患者が減ったという話を書きました。でも、水田で増えると言われているコガタアカイエカなんですが、私は昔からしょっちゅう水田で遊んでいるのに、そんなボウフラを見た記憶がありません。ユスリカの幼虫(赤虫)はよく見かけます。果たして、どんな感じで水田に居るものなのか?ひとつ、探して観察してみることにしました。

んで、コガタアカイエカのボウフラ探しなんですが、結構、難航しました。あっちこっち水田を覗いて見るのに、全然そんなもの見当たりません。ヒトスジシマカのボウフラってたくさんが水中でうじゃうじゃ動いてますよね。あんな感じをイメージして探してたんですが、これが間違いでした。

実は、コガタアカイエカのボウフラは、ヒトスジシマカの落ち着きの無いボウフラとは行動が全然違ってました。てんでんばらばらに一匹ずつ静かに水面下に浮かんでいて、刺激を受けるとスーッと沈んでしまい、そのまま全然動かないんです。そのため、田んぼの畦に這いつくばって、じっと水面を静かに観察し、浮いているゴミのようなものがたまたま何かの刺激ですいっと沈み、しばらくしてからスーッと浮かんでくるのを見つけたので、それをすくってみて、やっとそれがボウフラだということがわかりました。

んで、とりあえず捕まえてみたものの、果たして本当にそれがコガタアカイエカのボウフラかどうかはわからなかったので、とりあえずお持ち帰りして変態するのを待つことにしました。

クリックすると写真が大きくなります。
はい、これがコガタアカイエカのボウフラです。大きさは5mmくらいのもんです。下のヒトスジシマカのボウフラと比べると触覚が長く、お尻の呼吸管も細くて長いですね。体に赤いポツポツがありますが、模様かと思ったら・・・・・・、ミズダニでした。  
詳しくは→「衝撃のミズダニ!」
こうして静かに水面に浮かんだまま、毛を動かして推進力を得ているのかわかりませんが、スーッと横に移動したりします。振動など刺激を受けると、スーッと沈んでしまうのですが、ヒトスジシマカのボウフラと違って、底に横たわったまま当分動かないので、最初は死んでるのかと慌てました。死んだフリがうまいです。


こちらがヒトスジシマカのボウフラです。呼吸管が短いですね。とにかく落ち着きが無く、もうじっとしていることができません!って感じのボウフラです。右の写真の上に浮いてるのはヒトスジのサナギ(オニボウフラ)です。
動画です→boufura.wmv (691KB)


んで、コガタアカイエカのボウフラなんですが、捕って来た次の日には2匹がサナギ(オニボウフラ)になりました。
左の写真、左がオニボウフラになった直後、真ん中がオニボウフラになってしばらくしたもの、右が脱皮殻です。例によって、変わるところは観察できませんでした。なんで??
このコガタのオニボウフラですが、ヒトスジのオニボウフラよりもやはり静かであまり動きませんでした。刺激を受けると沈んだりするのですが、2回くらい跳ねたらもう水面に戻る感じでした。ヒトスジより動きがシャープでした。

右の写真は羽化直前のオニボウフラです。ヒトスジシマカと同じように、羽化が近づくにつれ、黒化していきます。

それで、オニボウフラの腹?側、水面に接している部分に赤いポツポツが集まってますよね。これ、ゲゲーッ!と驚きですが、ミズダニが集まってんですよー!! 気色悪いなー。
詳しくは→「衝撃のミズダニ!」

あと、余談ですが、フラッシュを焚くとこいつらの目って赤目になっちゃうので、困りました。


んで、羽化ですが、オニボウフラになって2日後だったんですが、これも観察できませんでした。しかも、ちょいと一日観察できなかったら、なんかさっさとお亡くなりになって水面に浮かんじゃってました。うーん、残念。死体を拾って写真を撮ってみました。
メスです。吸血に使う吻の中ほどに白い帯があるのがこの種の特徴です。触肢は短いのがあるらしいんですが、よくわかりません。 オスです。メスの羽音をキャッチするために、フワフワの触覚を持っています。

あと、アカイエカの特徴として腹に白の縞があるんですが、写真ではわかりにくいです。

それで、驚いたのが両者の背中側を見てもらうとわかるんですが、なんかイクラのようなものが付いてます。最初は「おおっ! 卵が付いている!」と思いました。しかーし、なんかおかしい。飼育容器の中にいたので、交尾はできてもメスは吸血できてません。ということは卵を作れるはずがないんです。それに、オスにも付いている。死体が水面に浮かんでる時に付いたのかなと思ったのですが、そもそもコガタアカイエカの卵は複数の卵が集合して舟型になってるのが水面に浮かんでるらしいので、形状が全然違います。ならなんなのさ?ということになりました。そして・・・、検討の結果、恐るべき事実がわかりました。なんと、卵じゃなく「ミズダニ」だったんですよー! まさか変態後も体にくっついて水から出てくるなんて思ってもみませんでした。いやはやまったく、生きものってのはおもしろいですねー。
検討の内容はこちらです→「衝撃のミズダニ!」

○蚊の卵の絵はこちらで ガイチュウものしり事典 アカイエカ(ガイチューバスターズ)

あと余談。蚊の本を読んでいたら、蚊が吸血に使う「吻」なんですけど、これってストローじゃないそうです。昆虫のアゴをイメージしてください。それらが変化してこの「吻」が形成されています。ストローに見えてるのがサヤ状になった下アゴで、これに舌や上アゴパーツが入ってるそうです。この下アゴの先をちょっと獲物の皮膚に刺したら、後はサヤの中に入ってるパーツが獲物の皮膚の中に挿入されて、吸血を行うそうです。って言われても、わかんないですけどね。

こんな感じでしたー。お楽しみいただけたでしょうか? コガタアカイエカのボウフラですが、見たいなら田んぼの畦に這いつくばって、水面すれすれに顔を近づけて注意深く探さないと見つかりません。まあ、興味があったら探してみて飼ってみたらどうでしょう。おもしろいですよ。

参考文献:蚊の科学(北隆館)昭和51年の本で絶版らしいです。(ISBN:4832600753)



衝撃のミズダニ!
いやもう、びっくりしたのなんのって。卵??? と半信半疑だったんです。そしたら、コガタアカイエカのメスは吸血しないと卵を作らないと書いてあるんで、うーん・・・と思って、写真を拡大してみたんですよ。そうしたら・・・、なんか足みたいのがあるー!!! だんだん確信になって来ました。そうか、こういうのもアリなのね。しかし、水の中だけならまだしも、羽化してからも付いてくるなんて。なんて強靭な奴らなんでしょうか。だいたい、ボウフラからオニボウフラへ脱皮した時にも、付いて行ったのか、一旦離れてまたくっついたのか、しつこくびっしり付きまとってるなんて恐るべしミズダニ! です。ちょいと薄ら寒くなってしまいましたよ、まったく。

それでは、衝撃のミズダニ画像をとくとご覧あれ!
クリックしたら大きい画像が見られます。
ボウフラの尾に近い方です。
うわダニだよ!っとびっくりでした。
これも尾付近。
イヤーンな感じですな。
オニボウフラの腹側です。
水面が鏡面になって映ってます。
ゲゲー!でしょ。

なんかね、特にこの赤い粒粒が多い方のオニボウフラが元気なくて、ほとんど動かなかったんですよ。やっぱミズダニのせいで弱ってたんだと思います。いやー、水田由来なので、こんなのも有りなんですね。ヒトスジシマカは雨水が溜まった突発的な水溜りに多いので、こういうのが無いのかもしれません。

そして、これが成虫にまでがっしり付いて行った画像でございます。うわー、うわー、信じれん! おそろしや。
メスの背中です。びっちりですよ。いじってる時に多少落ちちゃったので、最初はもっとありました。 拡大。あーしーがーあーるー! 
ダニですよダニ!
しかし、何で膨らんでるんでしょう?
乾燥対策に水をたくさん含んでるんでしょうね。

成虫が一日で死んでしまったのも、やっぱりダニのせいだったのかなーと思っております。
こんなミズダニの観察例、ネットで探したらイトトンボに付いてる写真がありました。やっぱ羽化する時に一緒に付いていくんだな。そして産卵する時とかに、移動先の水場に移住するわけだ、きっと。

参考:釧路湿原トンボ紀行2トンボの素顔

水生昆虫の飼育サイトなどに行くと、ミズダニが寄生してることがあるので、気をつけてピンセットで取ってしまえと書いてあります。・・・・・・、ボウフラが5mmということは、こいつらの大きさは0.5mmもないと思います。どうせーっちゅーねん! いや、なんかもう、いい経験させてもらいました。世の中いろんな生きものがいるんですねー。

余談:ビバ、CANON Eos-Kiss DN! 800万画素はダテじゃないですよ。拡大すれば結構、実体顕微鏡ほどではないですが、かなり細部まで見ることができます。いいオモチャを手に入れました。
Google
見たい生きものの名前や属名などを入力してGoogleに飛んだ後、
「イメージ」をクリックすると画像が参照できます。試しにこのまま飛んでみてください。


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